自動体外式除細動器AED。日本国内では、日本光電、フィリップス、オムロン、日本ストライカー(フィジオコントロール)、旭化成ZOLL、CU、日本ライフラインの全7社から、さまざまな種類の機器が販売されています。有名企業が多く、各製造メーカーのホームページで、丁寧な商品情報とともに使い方、消耗品の購入方法が説明されています。

医療事業者ではない一般市民でも自動体外式除細動器AEDを使えるようになったことは有名です。万が一の時に備え自宅に設置することもできるようになり、自宅で、マンションで、学校で、公共施設で、ショッピングモールで、駅で、会社で・・・と設置されている姿をよく見かけるようになりました。

どのメーカーもいざという時に使いやすく工夫して作られており、それだけにどれを選ぶべきなのか迷いどころ。

今回は、AEDの商品情報、各製造メーカーの特長や種類を一覧にまとめました。

日本光電

(1)音声が聞き取りにくい環境でも使いやすい工夫「イラスト表示」

多くのAEDは、音声ガイダンスに従って操作できるように安全に作られていますが、使用する環境が静かであるとは限りません。日本光電の機種は騒がしい環境でもきちんと操作できるよう、本体画面により操作方法が表示されます。音声が聞き取れる時でも、目で見て耳で聞いて、と両方で理解できるのは強い味方です。

また、メーカーによっては電極パッドに大人向け、子供向けと種類があり使い分けることを推奨されていますが、当機種は大人も子供も共通のパッドを使用できるのも特長。機器本体でスイッチを切り替えて使用します。使い分けが必要な機種の場合、パッドの使用期限終了後の買い替え時には大人用/小児用両方を購入する必要がありますが、それが1種類で済みます。

※電極パッドは消耗品のため、一度使用すると買い替える必要があります。

(2)グローバル社会にも対応する「バイリンガル機能」

この機種は日本語と英語のバイリンガル設定ができる機能や、無線電波を送受信しない状態に設定できる「機内モード」も搭載されています。2020年には東京オリンピックが控えており、年々増加する外国人観光客への対応検討は必須です。せっかくの日本への旅行が悲しい思い出にならないように。これからのグローバル社会にも貢献できる機種と言えそうです。

(3)機器開発技術、AED販売どちらにも共通している日本光電の「親切設計」            

「病魔の克服と健康増進に先端技術で挑戦」という指標を掲げる日本光電。2018年には心電図でグッドデザイン賞を受賞していることから、ユーザビリティも大切に作られていることがうかがえます。また、採血せずに血液中の酸素濃度を測ることができる仕組みの開発や、超小型のCO2センサの開発など、「患者への負担や苦痛の軽減」を重視し技術/商品開発されている点からも、安心感や信頼感が高まるでしょう。

AED購入に対しても親切に設計されており個人購入する際に役立つ「導入フロー」ページも用意されています。また、「AED選択チャート( https://www.aed-life.com/products/finder/ )」によって、自分がどの機種を選べばよいかをナビゲーションしてくれます。

※日本電工ホームページ:https://www.nihonkohden.co.jp/index.html

※AED詳細:https://www.aed-life.com/

フィリップス

(1)小型、軽量が特長のフィリップス「ハートスタート」

パッドやバッテリーを装着した状態での重さが1.5~1.6キログラム(機種によって多少異なります)。厳しい環境下でも使用できるよう、頑丈に作られています。固形、液体などの異物混入や、500kgの負荷、1.22mのコンクリート上への落下にも耐えられるように作られており、富士登山やスタジアムなど屋外での人命救助に役立てられているようです。また、フィリップスのAED「ハートスタート」にはいくつか機種があり、その中のひとつ「HS1+」は、日本限定モデルでオフィスや公共の場に設置されています。

(2)患者の状態チェックを迅速に行える

救命措置を行なう際、胸骨圧迫中断後、AEDが電気ショックが必要な状態かどうかを判断し、必要に応じてショックのための充電を行います。胸骨圧迫はできるだけ早い段階から絶え間なく行なうことが大切とされているため、できるだけその中断する時間を短くすることが重要であり、フィリップスはこの中断時間を10秒以内(AHA推奨)に収めることができる点は大きなメリットでしょう。なお、こちらの機種も日本光電同様、大人と小児でパッドの種類を付け替える必要はありません。

(3)身近な「便利」を提供するだけでなく「世界の命」を救うフィリップス

アメリカにおいて、医師の処方箋なしで一般市民の購入が認められた初の自動体外式除細動器、フィリップス。少し前のデータにはなりますが、2016年3月現在、世界103か国に出荷されています。

髭剃りや電動歯ブラシ、美顔器など、私たちに身近な商品も数多く販売していることでも有名なフィリップスですが、発展途上国にも目を向け、医療の発展に取り組んでいます。

世界では、5歳未満の子供が肺炎により年間90万人命を落としており、そのほとんどが資源に乏しい発展途上国。ロイヤルフィリップスは、カナダの政府系ファンドのグランド・チャレンジ・カナダとともに、子供の呼吸数を自動的に検出するモニターChARMによって、小児肺炎の診断を向上される取り組みが行われています。

※フィリップスホームページ:https://www.philips.co.jp/

※AED詳細ページ:https://www.philips.co.jp/healthcare/consumer/aed

オムロン

(1)「初めて」を支えてくれる心強いAED

「初めてでも正しく使えるAED」という考えのもと作られたオムロンのAED。親切設計の機種です。パネルやイラストも大きく、どこを押せばよいのかなどが非常にわかりやすい種類で、シンプルに作られています。音声ガイダンスとともに、LEDランプによって次に行うべき作業を導いてくれるので、いざという緊張した状況の中でも使いやすい機種と言えます。

(2)使い勝手の良さだけでなく、頑丈なボディも持つ

ユーザビリティに優れるだけでなく、小型軽量、小型軽量、耐衝撃・耐振動、耐衝撃・耐振動など、機械としての耐久性にも優れながら、1.1kgという軽量さも兼ね備えています。除細動パッドとバッテリーを一体化した除細動パッドパック(使い切り、長寿命)を採用している点も特長です。

(3)命をさまざまな角度から支えるオムロン

言わずと知れた有名メーカー。血圧計や体温計、体重体組成計や歩数計など身近な商品も数多くあり、実際に自宅で使用されている方も多いのではないでしょうか。

ホームページを見ると「カラダ改善プラン」と題し、病気になる前に健康な体、キレイな体を維持しようという積極的な取り組みも行われています。「すぐに使える」「目に見える」ことから意識することを習慣化させ、それを健康維持へつなげるのです。

※オムロンホームページ:https://www.omron.co.jp/

※AED詳細:https://www.aed.omron.co.jp/revive/

日本ストライカー(フィジオコントロール)

(1)医療従事者への連携も考えられている自動体外式除細動器

日本ストライカーが一般市民向けに販売しているのは、サマリタンとライフパックの2種。サマリタンは、オムロン製品同様わかりやすい操作感、LEDによる誘導などが特長で、コンパクトで使いやすく、持ち運びしやすく軽量化されているのが特長の次世代AEDです。

ライフパックは、その後の治療を行なう医療従事者への連携にも重きを置いており、AEDで行った電気ショックの回数やなど手当をした情報を、クラウド経由で供することができる点は、救命措置において心強い機能です。

また、AED遠隔モニタリングサービスを実現する外付け通信機器「HeartSine ゲートウェイ」も販売し、さらに有効に使用できるように進化しています。

※「HeartSine ゲートウェイ」詳細はこちら:

https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP495081_W8A101C1000000/

(2)「目に見える」存在感が命を救う

いざという時に、どこにあったか思い出せない。それではAEDを設置している意味が半減してしまいます。個人宅での購入であればそのような問題は起こりにくいかもしれませんが、マンションやオフィスで設置する際には、どこにあったかすぐに思い出せることも大切です。そこにも積極的に取り組んでいるのが日本ストライカー(フィジオコントロール)です。ライフパック本体を丸い透明ケース(キャビネット)に入れ、壁に設置します。印象的な見た目をしているので、なんとなく通りかかるだけでも記憶の片隅に残りやすく作られているのが特長です。

(3)救命措置に特化した製品展開をしているメーカー

2018年10月に、フィジオコントロールジャパンと法人統合した、日本ストライカー。

フィジオコントロールは、自動体外式除細動器AEDの中でも歴史あるメーカーの1つです。ホームページにはブログも設置されており、救命救急の歴史やマラソン大会サポートのレポート、自社商品の紹介など頻繁に更新されており、積極的な企業活動を見て取ることができます。サマリタンやライフパックの他には、自動心臓マッサージシステム(医療従事者向け)や、ライフパックからデータを取り出しその後の治療を検討するためのソフトウェアなど、AEDや心停止した際の救命措置に特化した製品を創出しているメーカーです。

※日本ストライカーホームページ:https://www.physio-control.jp/

※AED詳細:https://www.physio-control.jp/product/

旭化成ZOLL

(1)「救命者の不安を取り除く」ことに着目して作られたAED

胸骨圧迫に対して、「モットツヨクオシテクダサイ」など、声と画面表示で具体的なアドバイスをくれたり、リズム音で1分間に100回の速さで押せるよう誘導してくれます。また、電極パッドが一体型になっていることから、貼る位置に迷うことはありません。救命措置を行う順番も本体に時計回りの順にイラストを見ていけばわかるように書かれており、救命者の迷いを取り除く仕様になっています。

(2)いざという時に使えないと意味がない!操作説明も充実

同社のホームページでは、動画による自動体外式除細動器の使用方法の紹介や、操作方法などを子供でもわかりやすくまとめてあるテキストがダウンロードでき、自宅でも学べるようになっているなど、AEDの使いやすさの周知に努めています。

また、各施設への設置事例なども見ることができ、たくさんの信頼を集めていることをうかがい知ることができるでしょう。

(3)心臓ペーシングと除細動のパイオニア

心臓ペーシングと除細動のパイオニアであるポール・ゾール博士によって、1980年に設立されたゾールメディカル。その製品を日本で販売しているのが有名メーカー旭化成の「旭化成ゾールメディカル」です。医療従事者向けの除細動器や体温管理システムなどの製品が充実しています。

前述した通り、同社は「救命者の不安を取り除く」ことに着目し、一般市民向け製品を作っています。それは、人が倒れた時に最初に助けられるのはその場に居合わせた人だから。心肺停止後、1分ごとに救命率が7~10%下がるというデータがあり、いかに早く救命措置を行なえるかがその後に大きく影響します。家庭内での死亡数は交通事故死の約4倍ともいわれており、自宅での救命措置は大変大きな意味を持ちます。

早く救命措置を行なうためには、スムーズな機器操作や、救命者が安心して救命措置を行なえる環境が大切であり、そのサポートをしたいという思いが製品にも表れています。

※旭化成ZOLLホームページ:https://www.ak-zoll.com/

※AED詳細:https://www.ak-zoll.com/general/top.php

CU

(1)救命のプロに選ばれる、本格派自動体外式除細動器

「オールインワン」と言われている、欲しかった機能が詰まっているAEDです。本体の状態、バッテリー期限、電極パッド期限、電極パッド導通性、電極パッド乾燥の5つのテストを毎日行い、その結果をすぐにわかるように設計されています。これだけテストが入念に行われるAEDは稀で、さらに1秒もかからずにそのテストが完了するのも魅力です。

5年間持続するバッテリーが付属されており、バッテリー交換の手間がないのも大きなメリットと言えます。バッテリー交換には費用の他にも業者とのやり取りといった手間も発生しますので、意外と大きなポイントになることを忘れないようにしたいものです。

(2)AED講習の市民の声から生まれた機能を搭載

一般市民のAED講習でのアンケートで、59%の人々から上がったのが「音声が小さくわかりづらい」という点。一般市民がAEDを操作する際に、音声によるナビゲーションは大変重要です。交通量が多い場所などでの救命措置においては、聞き取りづらさが足かせになってしまうかもしれません。

それを解決する機能を備えたのがこのCUのAEDです。周りの騒音に負けない大きさで音声が流れるように設計されているオートボリューム機能を搭載。一般市民の声が反映されたAEDです。

(3)除細動器の専業メーカーという安心

CUは、世界70か国ほどに輸出しているCU MEDICAL SYSTEMS(韓国)の日本法人です。一般市民が自宅で簡単に使えるように設計された製品から医療従事者向けの製品まで、幅広い製品が作られています。

大使館や病院、介護系施設にも導入されていることも、信頼度の高いAEDメーカーであるという裏付けであると言えるでしょう。

※CUホームページ:http://www.japan-cu.com/

※AED詳細:http://qat.co.jp/aed/product/cu-sp1

日本ライフライン

(1)安心で便利な機能が搭載されている信頼できるAED

日本ライフラインのAED「カーディアックレスキュー」。遠隔監視システム機能を搭載した機種が2019年に新たに販売されました。このシステムを使用すると、AEDのセルフテスト結果などが登録されているメールアドレスにて共有されます。いざという時にエラーで使えないという事態を防ぐことができるでしょう。

電極パッドは成人と小児で兼用可能、BluetoothやUSBケーブルでパソコンへ接続することができる、AED使用中の周囲音声を録音可能、耳の不自由な方でも使用できるようになっているなど、さまざまな安心、便利機能が搭載されています。

※2019年3月12日に下記がリリースされました。

「カーディアックレスキューRQ-5000(AED)の自主回収」

https://www.aed-rescue.com/file/voluntary_re_20180312.pdf

(2)操作性、容易な点検、耐久性を兼ね備えている

一般市民が使用するAEDを選ぶポイントとして、操作が簡単であること、点検が容易であること、耐久性に優れていることの3つがあり、同社のAEDもこの3つを兼ね備えています。暗い場所でも使いやすい音声とランプによるフォローの他、大人と子供で共通でパッドを使用できる点、本体のチェックがセルフで行われる点、1.5mの高さからの落下にも耐えられる耐久性も持ち合わせているなど、重視したい点が押さえられているAEDと言えるでしょう。

(3)商社とメーカーの顔を持ち、心臓に関する病の情報提供も豊富な企業

医療機器商社と医療機器メーカーの顔を併せ持つという特徴がある企業です。

AEDの他にも、不整脈を治療する機器、人工血管、カテーテルなどの医療機器を製造、販売している心臓疾患に関する医療機器を広く取扱っている企業です。36年以上にわたり医療機器販売などの事業を展開している同社は、1999年から自社製品の開発および製造も開始しました。

ホームページでは不整脈や心筋梗塞の治療法などについても丁寧に紹介されており、「病める人のために最新最適な医療機器を提供することを通じて社会貢献する」という企業メッセージの実現を感じさせる企業です。

※日本ライフラインホームページ:https://www.jll.co.jp/

※AED詳細説明:https://www.aed-rescue.com/

まとめ

日本でのAED自動体外式除細動器取扱い製造メーカー7社一覧をご紹介しました。

有名なメーカーが多く、どのメーカーも必要な機能は備えており、どれを採用しても間違いはないでしょう。保証期間5年、その期間中消耗品である電極パッドやバッテリーの買い替えが不要なメーカーも多くあり、そのあたりも選ぶ際のポイントになります。

実際に救護を実施する場面になった際に操作しやすいと直感的に思える機種はどれか、どんなメーカーから購入するのが安心できるか、判断基準は人それぞれです。各社のホームページをよく読み、ご自身に合ったAEDを探しましょう。

119番で救急隊を要請した後何も救命措置を実施しなかった場合、命が助かる人は1割にも満たないといわれています。心肺停止後、1分経過ごとに命が救える可能性が7~10%下がるというデータもあり、救命の可能性は「救命救急を始めた時間の早さ」が大きなカギを握ります。倒れている人に救命措置を行なう、人の体に電気ショックを与えるというのは、医療の知識のない人にとっては大変なプレッシャーです。しかし、そのまま何もしないでいると、命が助かる可能性がどんどん低下してしまうのです。

どのメーカーも、救護者だけでなく救命する側の気持ちに寄り添ったAEDを製造しています。落ち着いて救護を実施しましょう。