近頃、頻繁にAEDを設置しているところを見掛るようになりました。

先日都内某所の有名なオフィスビルを訪ねたところ、ビルの入口付近に誰もが気付くほどの分かりやすい場所に設置されているなど、以前に比べてAEDがあることに対して驚きも少なくなってきたように感じます。

また高齢者や心臓に持病を持っていらっしゃるご家庭にはAEDを常設されるケースも増えてきており、AED自体が馴染み深いものになってきています。

その一方で、AEDの購入や設置することは徐々に当たり前のようになってきていますが、その先のメンテナンスや管理方法については未だ世間に浸透されていないようです。

そこで今回はAEDの点検方法や管理方法について詳しくご説明していきます。

万が一の時にAEDを使用できるように最低限点検しておくべきことは?

(1)どうしてAEDの日常点検は必要なのか?

AED(自動体外式除細動器)はバッテリーや消耗品などの部品から出来上がった製品です。

それらには耐用期間が設定されており、製造業者が使用環境や時間を元に、稼働時間や使用回数などを考慮して耐久データを設定しているため、正常に稼働する期間が決まっております。

万が一、設置してから長い年月が経過してしまっていると正常に稼働しない恐れがあるので、必ず使用期限が切れていないか必ず確認しておくことが必要となります。

また、インジケーターや消耗品は期限内とはいえ、どうしても劣化が進行してしまうものです。

そのため日々の点検を欠かさないことで、いざという時に問題なく使えるようにしておくことがとても大切なことになります。

もし緊急時に作動しない場合、救命活動に大きな支障を与えるおそれがあるので、AEDの所有者は毎日の点検を怠らないようにしておきましょう。

2009年厚生労働省の通達によると、AEDが使用される際に管理不備により性能を発揮できないことを防止するため、AEDの日常点検や消耗品の管理などを所有者側に求めております。

市町村や団体によっては既に義務化されているところもあるようで、今後その動きは更に加速していくと推測されます。

(2)消耗品やインジケータの点検や期限を調べておこう!

AEDの筐体に設置されているランプやディスプレイをインジケーターと呼びます。

AEDは毎日自動で稼働できるか否かの状態にあるかをセルフメンテナンスチェック機能を用いて常に使用できる状態かどうかの自己診断が行われ、そのセルフメンテナンスチェックの結果がインジケーターのランプやディスプレイなどに表示されます。

万が一AEDに異常があった場合、インジケーターの表示がいつも正常時と異なっていたり、アラーム音(ビープ音)が鳴りますので、直ちにAEDを購入した業者に連絡して交換などの対応をして貰いましょう。

また、インジケーターの点検は確認するだけで終わるので大して時間を要さないため、必ず毎日点検するようにしましょう。

AEDは電極パットやバッテリーなどの消耗品から成り立っています。

電極パッドは使い捨てのため、再使用は禁止されている上、使用期限が定められているので、必ず期限内に販売業者へ連絡して新品の電極パッドを購入して交換しましょう。

バッテリーの待機寿命は、設置環境や使用状況により短くなることがあるので、メーカーが推奨する使用期限より前に交換することを推奨します。

また製品に含まれている表示ラベルは消耗品の使用期限が分かるように、キャリングケースや本体の目立つ場所に貼っておくことで、使用期限が過ぎることを防ぐ可能性が高まるので必ず実施しておきましょう。

販売業者の手違いなどで表示ラベルが同梱されていなかったり、日時が記載されていない場合は必ず連絡して交換などをして貰うよう依頼しましょう。

AEDは商品の性質上医療機器にあたりますので、いつまで製品のクオリティや安全性などを保証できるのかという耐用期間というものが設定されていますので、万が一耐用期間を過ぎてしまったAEDを保有しているようでしたら、直ちに販売業者に連絡をして新品への製品交換もしくは更新を行い、また不要となった場合は廃棄する旨を伝えるようにしましょう。

(3)職場でAEDを管理する上で重要なポイントとは?

点検とは言えど人間のすることですので、どうしても気付かないことやミスは付き物です。

そこで複数の人間で管理することで、機械が正常に稼働しているか否かをより正確に確認することができます。

例えば、AEDを毎日点検する点検担当者と点検後のチェックシートを確認するAEDの管理担当者を初めに決めましょう。

そのようにすることで、点検担当者が気付かなかった使用期限の忘れやインジケーターの異常についてダブルチェックができるので身と落とす確率が一人で管理する場合に比べて圧倒的に減ることでしょう。

また点検担当者を一人ではなく複数人に点検させることで、職場内にAEDがあることを認識した上にAEDに対する関心も高まるので、職場の規模感に問わず複数の点検担当者と管理担当者を設定すると良いでしょう。

前述でも記載しましたが、AEDは医療機器ですので日々の確認が必要不可欠となります。

そこで、日常業務の一環として毎朝AEDの点検業務と確認業務を入れることで、毎日点検することを忘れないようにしましょう。

職場内のAED管理担当の方が知るべきこととは?

(1)製品管理におけるエビデンスの残し方

AEDの販売メーカーのホームページを除くと、殆どのメーカーでAEDの点検表をダウンロードできるようになっています。

<販売メーカー・商品名・HP一覧(一部)>

・日本ストライカー株式会社

 ①「サマリタン」②「ライフパック」

https://www.physio-control.jp/

・日本光電工業株式会社

 ③「カルジオライフ」

https://www.nihonkohden.co.jp/

・株式会社フィリップス・ジャパン

・フクダ電子工業

 ④「ハートスタート」

https://www.philips.co.jp/

https://www.fukuda.co.jp/

・オムロンヘルスケア株式会社

 ⑤「自動体外式除細動器レスキューハート」⑥「パワーハート」

https://www.healthcare.omron.co.jp/

・旭化成株式会社

 ⑦「ZOLL AED Plus」

https://www.ak-zoll.com/

このようにメーカーサイトでも点検表をダウンロードできたり、販売代理店によっては各AEDメーカーの商品一つ一つに対して点検表を作成、ダウンロードできるようになっているので、最初はAEDの製品自体を理解するためにも詳細部分まで点検ができるシートをダウンロードして利用されることを推奨します。

製品の特長や特に注意してチェックしなければならない箇所を理解してきたら、毎日点検する必要がない項目を削っていくことも良いでしょう。

また、日時毎にAEDの点検担当者と管理担当者は誰だったのかを明記しておくことで、AEDがいつから異常を起こしたのか、またどの箇所に問題が生じたのかを正確に把握できるので、メーカーに問い合わせをする上で重要なエビデンスにもなるので必ず記載しておきましょう。

(2)AEDを管理する上での組織体制とは?

AEDは医療機器なので職場や組織で設置する場合には全体を見渡せる部署が管理することを推奨します。

その理由としては、厚生労働省が各都道府県知事や製造販売業者宛にAEDに関する通達をしております。そのため、普段から行政と繋がりを持っている総務部や庶務業務に従事している部署であれば情報の行き交いでトラブルもなくスムーズに執り行われるからです。

もし、組織に同様の部署がない場合であれば、代表者の傍で業務に従事している部署が管理するのが良いでしょう。

AEDの管理には、管理担当と点検担当の2つの担当が必要になります。

AEDの管理担当者は、行政から送られてくるAEDにまつわる通達や情報などを常に確認しつつ、点検担当者から上がってくる点検報告書に目を通して点検報告に不備がないかと目を光らせます。

また点検報告の内容に不備があったり、不明瞭なことに気付いたら直ちに点検担当者に確認を取り、それでも解決できない場合は販売業者へ連絡を取るようにします。

AEDが正常に稼働するか否かは人命に関わることなので、情報の取り扱いについても細心の注意を払っておきましょう。

AEDの点検担当者は、管理担当者の指示に従って点検項目を隅々まで全て行いましょう。

万が一AEDに異常があった場合は、点検表に異常があったことを正確に書き残して、管理担当者に報告しなければなりません。

その際、どの部分にどのような異常があったのかを詳細まで記しておくと、後の作業を行う管理担当者が次の一手を判断しやすくなるので分かりやすく明確に書面でも残しておきます。

日々の点検業務では「慣れ」というものが発生しがちです。毎日点検をしていると見逃してしまうことも出てくるかもしれませんが、常に「人命が掛かっている」という高い意識を持ちながら点検業務に従事するようにしましょう。

このように担当する業務内容は異なりますが、いずれもAEDを管理する上で必要不可欠の業務です。

いずれの業務でも共通するのは「人命が掛かっている」というとても大切な業務なので、その意味を十分理解した上で取り組まれるようにしましょう。

点検を続けたAEDはいつまで使えるのか?

(1)保証期間と耐用年数の違い

AEDの保証期間とは、AEDが何らかの原因で故障した場合にメーカーが無償でメンテナンス修理をしてくれる期間になります。保証期間はメーカーや商品によってもまちまちですが、メーカー保証期間は5年が一般的なようです。

またAEDの耐用年数とは、設置してからAEDを使用できる最大限の期間になります。

保証期間同様、メーカーや商品によって異なりますが7年が多いようです。

・日本ストライカー株式会社

 ①「サマリタン」   保証期間8年  耐用年数8年

 ②「ライフパック」  保証期間8年  耐用年数8年

・日本光電工業株式会社

 ③「カルジオライフ」 保証期間5年  耐用年数6又は8年

・株式会社フィリップス・ジャパン

・フクダ電子工業

 ④「ハートスタート」 保証期間5年  耐用年数7年

・オムロンヘルスケア株式会社

 ⑤「自動体外式除細動器レスキューハート」 保証期間5年  耐用年数7年

 ⑥「パワーハート」  保証期間5年  耐用年数7年

・旭化成株式会社

 ⑦「ZOLL AED Plus」  保証期間5年  耐用年数7年

ただし、これらの耐用年数は点検担当者や管理担当者が正しい製品管理を身に着け、かつ普段から点検を怠らない場合に最大限使える年数になるので、製品の性能自体はこれより短くなると考えて良いでしょう。

保証期間外の修理対応では別途費用が掛かってしまうため、購入する前に必ず保証期間を確認しておきましょう。

また有償にはなりますが保守点検契約を実施しているメーカーもありますので、普段の日常点検では心配だと感じられているようであれば、そういったサービスを提供しているメーカーもありますのでメーカーのホームページをご参照の上、そのようなサービスをご検討されるのもAEDを正しく使うための一つの手段ではないでしょうか。

(2)耐用年数を超えたAEDの廃棄方法とは?

冒頭でも記載しましたが、近年AEDの普及が急速に加速したことでその分だけ耐用年数を超えた古いAEDが増えてきております。

また耐用年数に達する前に別のAED商品を購入したり、新たにリース契約を結んだりしている企業や個人の方もすくなくないでしょう。

そこで耐用年数を超えて不要となったAEDはどのように廃棄すれば良いのでしょうか?

AEDは医療機器のため、廃棄時には所有するAEDのメーカー名や機種名、製造番号、設置者・設置場所の情報を製造販売会社へ連絡しなければなりません。

実際の廃棄の方法については、一般的な産業廃棄物と同様に処分することもできるようですが、処分する前に必ず各メーカー又は購入した業者に確認してから対処しましょう。

AEDの管理担当者は適切にAEDを廃棄できるように、正しい廃棄方法を確認しましょう。

まとめ

AEDは医療機械ですので、いつも正常に稼働するとは限りません。

「機械だから大丈夫だろう」「そんな簡単に壊れるはずはない」という甘い意識を持ってしまうと、万が一の時に助けられる命を助けられないことも可能性として十分あり得ます。

日頃から日常点検を行い、AEDに使う消耗品の管理を徹底することで、AEDを正常に稼働させて初めて人命を助けられるスタート地点に立ちます。

AAEDの点検や管理業務の一端を担うことになりましたら、このような意識をもって取り組んでいただだくといいのではないでしょうかだくことを切に願います。