今までも当コラムではAEDについてさまざまな角度からまとめてきました。

そして公共の施設を主として多くの場所でAEDが設置されていることも確認してきました。

しかしAEDの流通がここ10年前後で急激に発達したことや、大々的なAEDの説明機会が少ないため、AEDの使い方をご存じではない方が大勢いらっしゃることが分かりました。

そこで今回は正しいAEDの使い方について一緒にみていきましょう。

① AEDとは?

(1)AEDはどんな器具なのか?

AEDとは、突然心臓が痙攣して血液を流すポンプ機能を失い、正常に拍動できなくなった心停止状態の心臓に対して、電気ショックを行って心臓を正常なリズムに戻すための医療機器です。またAEDは心電図を自動解析する上、電気ショックが必要な不整脈と判断された方にのみ電ショックを流すので電気ショックが不要な方には無駄な電気ショックを流さない仕組みです。また掌より少し大きいくらいの電極パッドを傷病者の胸に貼って電気ショックを行う機器で、重さは1kg~3kgくらいの重さなので持ち運びにも便利で、万が一路上で人が倒れていてすぐにでもAEDを持ってこなければならない危険な状況においてでも、子供や女性、お年寄りでも運ぶことが容易な重さです。

またAEDの操作は非常に簡単で、電源ボタンを押すかふたを開けて電源を入れると全ての機種に音声による操作ガイドの機能があり、 機器から音声メッセージが流れるので使い方を細かく指示するため落ち着いてその指示通りに使用していきます。なお電気ショックが必要ない場合にはボタンを押しても通電されないなど、安全に使用できるように設計されています。このようにAEDは操作方法を音声でガイドしてくれるため、簡単に使用することができ、資格などがなくても一般市民の誰でもが使用できますが、万が一の救命時に使用できるように心肺蘇生法などを実習をする救命講習の受講をした方がいざという時に冷静に対処できるのでその方が良いでしょう。

また、使用方法がわからなくても救命の現場では協力者が必要です。AEDを持ってくる人、救急車を呼ぶ人、周囲の安全を確保する人、心肺蘇生法を交代で行う人、など多くの方の協力が必要とされています。

2003年より以前は医師にしか使用が認められなかったAEDではありますが、2003年には救命救急士にも使用が認められ、2004年以降は医療従事者以外の使用も認められ、公共施設をはじめ駅や空港、学校、企業など不特定多数の人間が集まる場所に設置されるようになりました。AEDが設置されているところを調べるには、「日本全国AEDマップ」や「AED設置場所検索」を使ってみてはいかがでしょうか。日本全国にAEDが設置している場所を確認できるので、自宅や学校、会社周辺のAEDの場所を確認してみましょう。

またAEDが出始まった頃、一般の方が手にするには大変高額だったためAEDの普及は遅れていましたが、2007年頃から現在の価格に近づいたこともあり、心臓病を患うご家族がいらっしゃる家庭にも設置するのは珍しくなくなりつつありました。また公益財団法人日本心臓財団のホームページによると、2004年7月から2012年12月までのAEDの販売累計台数は約45台で、この中で医療機関又は消防機関に設置されているものを除く公共施設などに設置され一般市民が使用できるAEDは約35万台まで普及しています。

(2)AEDってどんな時に役立つの?

AEDを使う傷病者の状態について説明していきましょう。

前述でも記載しましたが、AEDは突然心臓が痙攣して正常に拍動できなくなった心停止状態になった心臓に対して、電気ショックを行って心臓を正常なリズムに戻すことができます。その突然心停止の最も一般的な原因である心室細動(不整脈の一つで、心臓の心室が小刻みに震えて全身に血液を送ることができない状態)や心室頻拍(心拍数が毎分120回以上になり、常に動悸と心不全の他の症状がみられる状況。息切れ、胸の不快感、失神などの状態))に使用します。突然心停止は事前の兆候もなくいきなり発生するケースも多く、死に至りやすい上にいつどこで発生するか分からない恐ろしい症状です。心臓に持病を持っていない健康な方に起こっても不思議ではないので、AEDの備えがとても重要になってきます。心筋の不規則な震えである心室細動や心室頻拍が起こると心臓から全身に血液を送ることができなくなり、回復しなければ死に至ります。心室細動や心室頻拍によって脳や臓器に血液が届かなくなる時間が長いほど、死亡と後遺症のリスクが高くなります。したがって、突然心停止の発症後、直ちに心肺蘇生と除細動電気ショックを実施することが非常に重要です。

一方で、AEDが使えない時はどんな時でしょうか?

例えば心停止の状態です。文字通り心臓の機能が停止した状態で、この場合AEDを使っても電気ショックは不要と表示されるなり、メッセージがAEDから流れるでしょう。その際は落ち着いて直ちに心肺蘇生の一次救命である胸骨圧迫や人工呼吸を継続して行いましょう。その際、傷病者の意識や正常な呼吸に戻るまでは心肺蘇生を続けながら、救急隊の到着を待ちましょう。

(3)AEDの使い方は?

初めにAEDの電源を入れましょう。AEDの種類によっては本体表面に電源ボタンがなく、蓋を開けると電源ボタンがついているものや蓋を開けると電源が入るものもありますので、必ず通電されたか否かを冷静に確認することが大切です。電源が入ると、AEDからメッセージや音声が流れるのでその指示に従いましょう。

次に傷病者に電極パットを装着していきます。衣服をはだけさせ、皮膚に直接電極パッドを貼り付けます。貼る位置は、パッド表面のイラストに記載されていますので、その通りに貼るようにしましょう。大抵の場合、電極パットで心臓を挟むような位置に貼り付けることになるでしょう。その際、傷病者が汗をかいていたり、金属製のネックレスをかけているとAEDが正しく機能しない場合もあるので必ずタオルで水分を拭ったり、貴金属を外すようにしましょう。

電極パッドに繋がった傷病者とAEDがつながると、自動的に心電図の読み取りが始まります。読み取りを終えて除細動が必要な場合はAEDから『除細動が必要です』のメッセージや音声が流れます。この際、AEDの誤作動を防ぐため、周囲にいる全ての人が傷病者に触ってないことを確認しましょう。万が一の場合、感電を起こしてしまい、正しくAEDが機能できなくなってしまいます。更に『電気ショックが必要です』のメッセージや音声が流れた場合は、念のため、傷病者に誰も触れていないことを再確認しておきましょう。

電気ショックの準備が出来たら、電気ショックのボタンを押すと除細動が実施されます。除細動が完了すると「胸骨圧迫を開始してください」などのメッセージが流れますので、これに従ってただちに胸骨圧迫を開始しましょう。心肺蘇生を再開して数分経過すると、再度解析が始まりますので先ほどと同様に傷病者には触らないようにしましょう。再度『電気ショックが必要です』のメッセージが流れたら、再度誰も触っていないことを確認してから、電気ショックのボタンを押すと除細動が実施します。再度『胸骨圧迫を開始してください』とメッセージが流れたら、これに従ってただちに胸骨圧迫を再開します。この一連の流れように電気ショックが行われても容体に変化がない場合は、救急隊が到着するまで、電極パッドを貼ったまま、ふたたび「胸骨圧迫」を行っていきましょう。

②AEDの使い方を学ぶには?

(1)「AEDの使い方」講習会を行っているのはご存じですか?

AEDの使い方を学べる講習として、公的なものでは消防署で行われている救命講習は殆ど無料で受講でき、人数によっては出張講習をしてくれることもあるようです。 

http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/kyuu-adv/life01-1.htm

また日本赤十字社の救急法基礎講習は1700円(受講費1,500円+手数料200円)の受講料で講習会場で行われています。 

http://www.tokyo.jrc.or.jp/application/kyukyu/kiso.html

それ以外にも救命講習を専門に行っている会社やNPO法人が行う講習会、AEDメーカーや販売店で講習を行っているところも数多くあります。これらの講習は大体有償で行われており、内容や受講時間などさまざまなコースが用意されています。

消防の講習は消防署で受けるの一般的です。ご自身が住んでいる近所の消防署のホームページを検索すると救命講習の内容と実施場所等のページがあります。そのページに講習の実施日や時間が記載されているので、ご自身の都合の合う日時を選択して受講しましょう。エリアによっては救命講習の予約が数か月先まで埋まっていて予約が取れないこともあるようです。また、ご自身のお住まいの地域またはお勤めの地域以外で受講を希望される場合、受講できなかったり、予約を先延ばしにされる場合もあるのでご注意ください。また消防署の救命講習は、受講人数が集まれば出張で講習にきてくれる場合もあります。何名集まればレクチャーしに来てくれるかは自治体によっても異なるので、事前に連絡をすると良いでしょう。

また赤十字社の救命講習は赤十字社の支部や関連病院でで行われており、ほぼ毎月数回のペースで開催されています。サラリーマンの方でも受講しやすいよう、土日や祝日にも開催されているので、多くの方が利用されているようです。またインターネットでの予約も可能なので、ご興味のある方は積極的に参加して万が一の時に冷静な対応ができるよう正しい知識を得たら如何でしょうか。

(2)講習会以外でAEDの使い方を知るには?

総務省消防庁のホームページを見ると、一般市民向け応急手当WEB講習というページが開設されています。AEDの正しい使い方をはじめ、心肺蘇生や応急手当を学ぶことができます。

https://www.fdma.go.jp/relocation/kyukyukikaku/oukyu/

応急手当を一連のフローで動画作成されているので、分からなくなった項目については見直すことも可能なので何度も復習して習得しやすいです。また項目毎の動画を見終えると、終了テストがあるので知識が身についたか否かを確認することもできるので、一度ご覧になられては如何でしょうか。

公益財団法人東京防災救急協会のホームページでは、応急手当のポイントやAEDを使用した心肺蘇生の動画が掲載されています。

https://www.tokyo-bousai.or.jp/lecture_point/point-kasou3/

それ以外でも人気動画サイトのyoutubeやAEDの販売メーカーでもAEDの機種別使用方法なども動画で紹介されていますので、まず身近な学ぶことのできるweb動画で学んでから、講習会に参加するのも良いではないでしょうか。

③ AEDを使った時の効果や必要性は?

(1)AEDを使って助かった命はどのくらいあるのか?

日本では毎日多くの人が心臓突然死で命を失っており、1年間に約7万人もの人が心臓突然死で亡くなっています。一日に換算すると約200人、7.5分に1人が心臓突然死で亡くなっている計算になります。突然の心停止から救命するためにできることは119番通報、胸骨圧迫(心臓マッサージ)、AEDによる電気ショックです。このうち119番通報をして救急隊の到着を待っていたのでは約9%の人しか救命できません。(※日本AED財団参照)

しかし、胸骨圧迫をすることで約2倍、さらにAEDを用いた電気ショックが行われることで、突然の心停止の半数以上の人を救えます。そばにいあわせた人がすぐに実施するからこそ得られる効果であり、救急隊や病院到着後に医師や看護師が行なう処置と比べて数倍の効果です。しかし、傷病者が倒れる瞬間を目撃した心停止の中でも、約半数は心肺蘇生を受けておらず、更にAEDによる電気ショックが行われたのは約4.5%といわれ、まだまだAEDが市民の常識になっていないのが現状です。

救急隊や医師を待っていては命を救うことはできません、突然の心停止を救うことができるのは、その場に居合わせた自分自身しかいないので、強い意志を持って取り組んでいきましょう。

(2)職場や自宅にAEDを設置する必要があるのか?

AEDは痙攣した心臓に対して除細動を行って心臓を正常なリズムに戻しますが、命を救うには5分以内に除細動が必要と言われております。万が一、5分で除細動できるAEDの配置ができれば、救命率が高まると想定できます。AEDを取って帰ってきて除細動を行うまで「5分」という距離は一体どのくらいの距離だと皆さんはお考えでしょうか。

幾ら落ち着いて対処しなければならないと頭では思っていても、万が一の時はどうしても焦ってしまいますので一度自宅や自社の周りにAEDの設置場所を確認してましょう。もし最寄りのAED設置場所との往復、除細動の作動まで5分以上掛かってしまう場合は、購入またはリースなども検討されては如何でしょうか。

まとめ

今回はAEDの使い方についてご説明しました。どうしても人の命に関わることですので慎重になりすぎてしまったり、難しいと考えがちですが、今回の説明でAEDの使い方自体は難しいものではないことがお分りいただけましたでしょうか。それでも難しいのではとお考えの方は、今回ご説明した救命救急の講習会に参加されて、緊急の事態に遭遇したときに適切な応急手当ができるように、日頃から応急手当を学んで身につけておきましょう。大切なことは、目の前に倒れている人を救うために「自分ができることを行う」ことなのですから。